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2004年から2009年まで更新していたブログ「今週のすぎやん」の内容を抜粋・修正し、ブログには書ききれなかった作者の思いや後日談なども新たに書き下ろしたエッセイ。

墓じまい(お墓の引っ越し)プロジェクトの記録(5)

墓 近況報告
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2023年7月 ~墓前法要~

戸建てから、マンションへ。

法要開始1時間ほど前にお墓に到着、簡単に清掃を済ませました。
開始30分ほど前に、Kさんが到着され、ご挨拶。電話やメールではやりとりしていましたが、お目にかかるのは初めてです。
Kさんは、焼香台のセッティングなど、法要の準備をテキパキとしてくれました。

市役所での手続きから、既に半月ほど経過。Kさんは、諸々の進捗状況を確認するため、あらかじめ公園墓地の事務所に立ち寄って下さってました。
事務所の職員さんによれば、墓撤去の手続きは既に完了しており、合葬式墓地への納骨手続き完了待ちの状態だそうです。

あれこれお話していると、定刻通り、お寺さんが到着されました。
Kさんにお願いしていた通り、我が家の宗派であった浄土真宗系列のお寺の住職さんです。

とてもお話好きな方で、法要前に私にこう語りかけられました。

ここから合葬式墓地への移動というのは、戸建てからマンションに移られるようなものです。
それにこの墓は、埋葬されている方が確かに存在したという証みたいなものですから、墓を撤去することを、気に病む必要はありませんよ。

読経中には、今まで50年以上、この場で見守ってくださってありがとう、という意味合いの、私の先祖への感謝の言葉を唱えて下さって、胸がいっぱいになりました。

墓撤去を決断し、手続きを進めてきたものの、「これで本当によかったのか、私が墓を撤去してもいいのか」という思いが、心の中から消える事はありませんでした。
そんな私には、「戸建てからマンション」というたとえ話が、とても心にしっくりきました。

法要は30分弱で、すべて終了。
住職さんをお見送り後、Kさんに見送られて、墓前を離れました。

細目の庵治石。

住職さんが到着されるまで、Kさんと一番盛り上がったのが、墓石の話。
Kさんは、「この石、こまめのあじいしですね!」と、やや興奮気味でした。

庵治石(あじいし)は、香川県高松市で産出される最上級の石だそうです。
目の細かさによって大まかに3種類に分類されますが、細目(こまめ)が一番高価とのこと。

墓石の詳しい話を聞くのは初めてだったので、そんな高価な石を使っていたのかとビックリしました。

「10年ほどこの仕事してますが、今までこの石でお墓を建立したことはないです。見積を出しても、高すぎると言われて断られるんです」と、Kさんは笑っておられました。

帰宅後、昔の書類を改めてよく確認してみました。

すると、香川県木田郡(現:高松市)牟礼町の石材屋が発行した見積書や請求書を発見。
それには確かに、庵治石の細目を使用している旨の記載がありました。また、母の姉(私の伯母)の夫、つまり私の伯父宛に発行された、石材屋からの領収書も残されています。

伯母夫婦も既に亡く、見積書に記載の石材屋も現存していないようなので、真偽は確かではありませんが、伯父が香川県の石材屋と知り合いだった可能性が高いです。

両親や伯母夫婦など、総勢7~8人が作業する様子が写る、50年前の写真も残されていますので、四国で寸法通りに石を切ってもらって、墓地へ運び、その場で組み立てたのかなと想像しています。

当時の両親の頑張りが伝わってきました。

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