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2004年から2009年まで更新していたブログ「今週のすぎやん」の内容を抜粋・修正し、ブログには書ききれなかった作者の思いや後日談なども新たに書き下ろしたエッセイ。

国宝と、歌舞伎と、サプライズと。

歌舞伎 近況報告
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昨年の話です。

昨年、一大ブームとなった映画「国宝」。
美しくて、華やかで、きらびやかなドラマや映画が大好きなお義母さん(ダンナの母上)は、義父(ダンナの父上)と連れ立って、巷で徐々に話題になり始めた頃に映画館で鑑賞。

それから数ヶ月。

「国宝」鑑賞をきっかけに、歌舞伎を生で見てみたいという欲望が、ふつふつと湧いてきたらしいお義母さん。ネットで検索し、10月に京都の南座で市川團十郎特別公演があるという情報をゲット。席を取ってほしいと、ダンナに司令が下りました。

既にかなりの席が埋まってはいましたが、2人並んで座れる席が、まだ若干残っていました。
さらに、義両親用に確保するつもりだった席の真後ろに、やはり2人並んで座れる席が残っていたのです。
そこで、ダンナのイタズラ心が芽生えます。

「なあ、うちも歌舞伎、見に行かへん?」

南座の前は数え切れないほど通過したことがあるけど、中に入ったことは一度もなかった私たち。
歌舞伎のことはさっぱりわからないけど、知らないことを知るのは楽しい。なんだか面白そう。
加えて、私たちが行くことをナイショにしておいて、現地で驚かせるというサプライズを仕掛けよう。

夫婦で話がまとまり、ダンナは4枚のチケットを入手。

チケット入手後、歌舞伎鑑賞の予習を兼ねて、ダンナと映画館で「国宝」を鑑賞。

ストーリーも何も確認しないまま、ぶっつけで鑑賞したのですが、あっという間の3時間。
メインは確かに歌舞伎で、迫力や美しさが堪能できますが、本筋はどろどろした人間模様、愛と欲と儚さが詰め込まれた、見ごたえのあるリアルな人間ドラマだと思いました。
手間も費用もかかっている、まさに映画でなければできない作品。

ガチの歌舞伎ファンには物足りないかもしれませんが、主演ふたりの俳優さんたちの演技は凄まじいものがありました。他にも多くの仕事を抱えていたはずなのに、彼らはいったいどれだけの努力を重ねたんだろう。
あと、喜久雄が関わった女性たちの生き様。特に、喜久雄から離れて俊介といっしょになった春江の思いに、私の想像が膨らみました。

生意気ですが、こういう大人の日本映画が大ヒットしたことは、とても喜ばしいことだと思えました。

そして10月。公演の日がやってきました。

早め早めに行動する義両親。きっと南座への入場も早いだろうと考え、少しゆっくりめに入場すると、2人は既に着席していたので、そーっと自分たちの席へ。
ダンナは茶目っ気たっぷりに、「歌舞伎は初めてですか?」と背後から2人に問いかけます。お義母さんは「はい、初めてです」と、真面目に返答。

しかし、2人とも、目線を私たちに向けているのに、全く気づきません。ダンナが再度問いかけても、反応が薄い。

ようやっと私たちを認識した時の、2人の驚いた顔と声! 「ああ、びっくりした」と、ずーっと言ってました。
サプライズ大成功、めっちゃ面白かった。

鑑賞した公演は、「歌舞伎の世界」と題されたプログラム。
映画「国宝」でも登場した「二人藤娘」などの歌舞伎の演目はもちろん、お客さんが実際に團十郎さんの衣装を着用したり、團十郎さんが舞台上で化粧や着付けの様子を見せてくれたり、舞台セットが出来上がるまでを見られたりと、歌舞伎初心者でも楽しめるよう工夫されていました。

團十郎さんのおしゃべりが、実に軽妙。
彼が顔にはたくと舞い上がる白粉が、地味に迫力満点。

予習なしでの鑑賞だったので、演目の話の内容はよくわかりませんでした。すみません。
しかし、何より実感したのが、裏方さんの重要性。

三味線や太鼓などの伴奏、様々な用具を使った効果音の迫力は想像以上で、歌舞伎の世界を彩ってくれています。
生の舞台でしか味わえないものだと感じました。

ちょっとびっくりしたのが、黒子さん。
黒子って目立たない存在だと思っていたけど、まさかあんなに目立つ感じで、舞台上でスタンバイしているとは。

團十郎さんが60キロほどある衣装を着用して、きちんとお芝居されている姿は圧巻だったけれど、ひとりでこの衣装を纏うことはできない。
舞台でもコンサートでも何でもそうだけれど、特に歌舞伎は、どんなに花形役者が揃っていても、裏方さんの存在がなければ、幕を上げることすらできないのではないかと思い知りました。

学びも多く、華やかで楽しい気分になれたひとときでした。

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