泣ける幸せ。

供花雑記

ここまで人は泣けるもの。

先日、「母が亡くなりました。これから病院に向かいます」というLINEの一報で、学生時代の友達のお母さんの訃報を知りました。

彼女のお母さんはご高齢ということもあり、徐々に衰弱が進み、ここしばらくは、何度か危篤状態に陥り、また持ち直すということを繰り返していたそうです。

私と彼女とは「一人っ子」という共通点があり、さらに私が既に両親を亡くしているということもあるのでしょうか、自らの気持ちを振り絞るようなLINEが、これまでにも何度も届き、その都度やりとりを重ねていました。

葬儀が終わった後、自分の気持ちを整理するために書いたとみられるLINEが、彼女から届きました。

彼女は、お母さんが亡くなった直後、呼吸困難になりかけるくらい泣いたそうです。
告別式の時も大泣きし、あまりに泣きすぎて、意識を失いかけたとのこと。

彼女は数年前に、実のお父さんも亡くしています。
しかしそのときは、ここまで大泣きしていなかったはず。

「ここまで人は泣けるものなんですね」という一文から、ふと自分の時のことを思い出しました。

泣けてよかった。

母が亡くなったのは、私が29才の時。
既に父は入院中でしたので、私が喪主を務めました。しかし、仕切りたがりの親戚たちがまだ元気で、私が知らない間に進行している事柄も多々あり、形ばかりの喪主でした。

母の勤務先の人たちもたくさん参列して下さり、皆さん泣いているのに、私はずっとぼーっとしていました。
泣きたい気持ちはあったけど、涙が出なかった。

父が亡くなったのは、それから15年後。
再び喪主を務めましたが、母の時とは違い、全て自分で決めて取り仕切りました。

葬儀終了後、最後のお別れをして、棺の蓋を閉める直前、大泣きしました。
子供みたいに大声あげて、泣きじゃくりました。
火葬場で、棺が炉に入っていった時も、涙がぼとぼと出ました。

両親とも、それなりに全力で私がひとりで面倒を見たという条件は同じです。
同じ条件なのに、母の時は全く涙が出ず、父の時は大泣きしたのは、なぜだろう。
両親が亡くなった後、考えたことのひとつです。

母はガンで1年入院、闘病しました。顔を見せないと、「なぜ来ない」と電話を掛けてくるので、ほぼ毎日病院に通いました。

1年で、私は10キロ近く痩せました。
心身共に、本当にしんどい1年でした。

あまりにしんどかったからか、母が息を引き取った時、夢の中にいるようだった。
母が亡くなったということは理解しているのですが、どこか他人事みたいな感覚がありました。
自力では処理しきれないことがたくさんあって、ぼんやりしていたのでしょう。

一周忌の直前まで、母が自宅にいる夢を、何度も見ました。
母はもう死んだのに、なぜいるのか不思議だったけど、夢の中ではそれを受け入れ、普通に会話している。

母の夢を見なくなった時に、私はやっと母の死を受け入れたのかもしれません。

母が亡くなるまで、ぼんやりのほほんとした人生を送っていた私。
しかし母亡き後、主体的な行動が必要となり、私は30代にしてやっと、自分の足で人生を歩き始めました。

両親はなかなかアレな人で、特に母は、今で言う毒親の類いに近い人だったと思いますが、方法論は別にして、私をとても大事にしてくれました。
でも私は、人として、親子として、母ときちんと向き合えたという実感を持てなかった。母のことを詳しく知ろうとも思わなかったし、どちらかといえば逃げたかった。

母の死がきっかけで、父の人生により深く関わることになりました。
ワガママは通すくせに、自分の生き方すら決められず、私に決断を迫ろうとするので、喧嘩もたくさんしましたが、楽しい会話もたくさんできました。父がどんな人生を送ってきたか、どんな人生観を持っているのか、ほんの一部かもしれませんが、知ることができました。

人として、親子として、父とはきちんと向き合えた実感を持てた。
母との間には築けなかった関係性を、何とか父とは築くことができた。
それは私にとって、人生の大きな糧となり、癒やしにもなりました。

父はガン発覚から2ヶ月で、あっという間に旅立ってしまいました。

母の時同様、心身共にしんどかったし、悩み、迷い、後悔を常に抱え、やりきれなさもあったけれど、15年の間に築いた、父との確かな信頼関係があった。
だからこそ、父の死をちゃんと最初から受け入れ、お別れの時に、思いっきり泣けたんじゃないかなと思います。

もしかしたら、父に泣かせてもらったのかもしれない。気が済むまで泣いて、前に進めと励まされていたのかもしれない。
生前、「死んだら灰になるだけや」と言っていたし。

身内の葬儀で思いっきり泣けるって、とても幸せなことじゃないかなって思う。

私は友達に、「泣けてよかったんだよ」と送信しました。

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